2016.07.19
7/16・7/17に東京ビッグサイトTFTで開催された、第18回日本在宅医学会大会・第21回日本在宅ケア学会学術集会合同大会に参加してきました。私が参加したシンポジウムは「認知症の方の食支援」「意思決定支援」「フットケア」の3つですが、その中から2つを簡単に紹介したいと思います。
~認知症の方の食支援~
2025年には認知症高齢者は700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症すると言われています。加齢が原因でも咀嚼・嚥下機能は徐々に低下していきますが、認知症の方はそれに加え、病状の進行に伴い食べることにも支障をきたすようになり、支援が必要な状態になります。
認知症の方が食べることができなくなったときは、①認知症の病態に基づく視点⇒認知症の原因疾患、重症度による摂食・咀嚼・嚥下障害の特徴、②生活者の視点⇒生活の営み、食生活史、③加齢変化を含む心身の変化に気づく視点から、なぜ食べることができないのかをアセスメントし、介入することが認知症の方の食支援には重要となります。認知症という病によって食べる楽しみを奪わな いように、いかに食べていただけるように工夫するかということを今後も考えていきたいです。
~フットケア~
在宅療養者の多くが罹患している白癬に着目し、半年間の治療とフットケアが介護予防に有効か介入研究されたものです。研究結果では、フットケア介入群は足・爪白癬ともに陽性者数が減少し、介護度、足の痛み、足の清潔満足度が維持・好転し、介護予防等に寄与することが示唆されました。
私は外来で勤務しているときに、『糖尿病足病変の指導に従事する方のためのフットケア研修』に参加し、実践してきました。白癬だけでなく、麻痺がある方はどちらかの足に荷重がかかりやすく、巻き爪や陥入爪になることで痛みが生じ、リハビリがスムーズに行えないケース、また糖尿病の既往がある方は、末梢神経障害から痛みを感じにくく、気づいたときには傷が悪化したり、白癬が原因で潰瘍になってしまい、重症になると切断を余儀なくされます。フットケアは皮膚の乾燥予防や爪の切り方の指導のような発症予防から足病変の治療過程における増悪予防に至るまで幅広い視野で介入することが必要となります。病院に入院中、外来に通院中の方だけでなく、在宅にいる方の『足を守りたい』、足が原因で社会参加ができなくなってしまうようなことが起こらないように携わっていきたいと思っています。そのために、全スタッフがフットケア技術を習得し実施できるよう取り組んでいきたいと思っています。